屋久島2日目。
本日のメインは、屋久島うみがめ館の取材。
名物館長、大牟田一美(おおむたかずよし)さんにも
お話を伺う予定です。
今、この地で起きている問題とは?
屋久島は、日本でも有数のアオウミガメの産卵地。
ラムサール条約にも登録されています。
7月の中旬~下旬にかけて、孵化したウミガメの赤ちゃんたちが
砂浜から海にむかっていくシーンは有名で、
多くのマスコミや観光客が訪れます。
しかし、この人気が今、大きな問題を呼んでいます。
うみがめ館への取材依頼の際、
ブームを煽るようなことだけはやめてください。
そう約束をしました。
事前の調査で、
わたしたち人間によって環境が荒らされ、
安心して産卵できる浜辺は激減していることがわかりました。
そんな現状と、わたしたちには何ができるのか、
その問題を取材するのが今回の目的です。
雨の中、永田浜にある屋久島うみがめ館に到着。
なにやら慌ただしい様子です。
聞けば、台風で流されたウミガメの卵を救出しているとのこと。
保護された卵を保管する小屋に入らせてもらいました。
電気を消した暗い部屋にスタッフがたくさん。
真ん中に座っているのが、大牟田館長です。
バケツには、たくさんの真っ白な卵。
ピンポン玉のようです。
ひとつひとつ、卵の下から電気を照らし、
胚の位置を調べて、
天地を間違えないように並べていくのだそう。
台風の多い屋久島では仕方がないとはいえ、
せっかく産ん親ウミガメたちを思うと胸が痛く、
自然の驚異を目の当たりにした体験です。
小屋の中には、外国のスタッフもいます。
みなボランティアで応援している人たち。
大牟田さんを中心に、
真剣で、でも愛を感じる不思議な空気感でした。
小屋を出て、館内を見ながらスタッフから説明を聞きます。
アオウミガメの生態や、現状の問題が展示されています。
人間が散らかしたゴミを飲み込んだカメの写真、
船のスクリューで体が切れてしまったカメの写真、
テトラポットの間に落ちたカメの写真など、
凝視できない痛ましい写真たちが並んでいます。
そして今、
大きな問題になっている子ガメの現状。
深夜、砂浜の中で孵化した子ガメたちは、
仲間のカメを踏み台にしてせっせと地上に這い上がり、
月の灯りを目指して、海の方向に進みます。
ところが、浜で見学する人間たちの懐中電灯や、
ホテルや街灯の光を月明かりと間違えて、
海と逆の方向に歩いていってしまうのです。
砂浜に忘れられた懐中電灯のライトに群がる
子ガメたちの写真が示しています。
また、立ち入り禁止区域にも見学者が侵入して、
砂浜を踏み固めてしまうため、
子ガメたちが砂から這い上がれなくなってしまうのです。
現在は、卵を保護するネットや、
灯り禁止の運動は進められているものの
まだまだ知られていないのが現状です。
館長の大牟田一美さんは、
屋久島を離れて別の地で仕事をされていて
数年後、故郷に戻ってこられました。
そのとき、永田浜の砂浜が侵食されて激減していることを問題視。
そしてうみがめの産卵場所であるこの浜をどうにかしなくては、
そんな思いから、うみがめ館を設立されたのだそう。
アオウミガメは、産まれた浜から海へ出て
長年、旅をして戻ってくるのです。
この浜を、いつまでもウミガメたちのために守らなくては。
わたしたちには、小さなことしかできないけれど、
ルールを守らなければ、自然は応えてくれません。
「知らなかった」では済まされない
そんな現状が今、ここにあります。
(sachi)
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